黒川の今昔 暮らしの立て方

昭和の前半に見られた黒川の暮らしの年中行事

 

とんと焼き

長い竹や藁などでやぐらを組み、正月の松飾りや注連縄を燃やし、残り火で竹に刺した餅を焼き神棚に供え、同時にこの火にあたって焼いた餅を食べるという、1 年の無病息災・五穀豊穣を祈る伝統行事。現在は黒川公民館のグラウンドで行われています。

 

地蔵盆

関西地方では各所で見受けられる地蔵盆。お地蔵尊をまつる行事です。黒川では、8 月末から9 月中頃までの八はっさく朔会とともに開催されることも。かつては黒川のなかだけでも5 〜 6 か所で地蔵盆が開催され、盆踊りをはしごすることもあったそうです。

 

ちまきづくり

旧の端午の節句に合わせて作るちまき。昔は黒川のどの家でも作っていたそうですが、いま黒川ちまきを作っているのは今西家(P.40-41 参照)のみとなっています。

一般的なちまきはササで包みますが、黒川のちまきの特徴は、いまでは大変珍しいナラガシワとヨシの葉を使って作るところにあります。いまでもこのナラガシワとヨシの葉を使ったちまきを作っているのは、武庫川中流域と猪名川上流域の北摂里山地域のみです。

ナラガシワ

モチの材料はうるち米。それを米粉にし、食塩を入れ、モチをつきます。ついたモチを長さ約6〜7cm、直径3cm 程の俵型にし、ヨシの茎の部分で刺します。ナラガシワの葉と、川に生えているヨシの葉でモチを巻き、田畑で群生するイグサで縛って1本が完成します。それを10 本で1束にして、蒸し器で蒸しながらくるんだ葉で香りづけを行います。

ナラガシワは昔は黒川一帯に生育し、各家にナラガシワがあったり、炭焼きのクヌギの伐採の時にナラガシワの木を見つけておき、ちまきづくりの際に葉を取りに行くこともあったそうですが、今では数が少なくなってしまいました。

ちまき

今西家では、ちまきを作るために、ナラガシワの木を手入れして守っています。
農機具の機械化が進む以前の一家で農作業をしていた頃は、日中は田植えのため、ちまきづくりは夜にしか時間がなかったそうです。また、他の家から農作業のお手伝いに来てもらった時にちまきを振る舞うこともあったそうです。各家によってちまきの味が違ったそうですが、特に原料に使ったうるち米によって味の違いが出ていたようです。そのため、家の自慢としていいお米でちまきを作っていた家もあったというエピソードもあります。