はじめに 西谷の概要

 阪神北県民局では、管内にある30 箇所の里山の一つひとつを展示物に見立て、「北摂里山博物館(地域まるごとミュージアム)」(http://hitosato.jp/)として整備しています。今回このガイドブックでご紹介する宝塚市西谷には、丸山湿原群をはじめとする「北摂里山30」が5 箇所あり、里山の魅力を伝える地域です。

宝塚市は兵庫県の南東部に位置し、東は川西市に、西は神戸市と西宮市、南は伊丹市、北は三田市と猪名川町に隣接しています。南北に長細い地形で、都市構成として南部地域と北部地域に分けることができます。南部地域は市街化が進み、人口が集中する地域です。西谷のある北部地域は、高さ350 m前後の山並みに囲まれた自然豊かな農村地域となっています。気候は年間を通じて比較的温和で、南部地域よりもやや寒暖の差が大きく大陸型の気候を帯びています。

西谷は、市域の約2/3 の面積を抱え、その中で13 の集落を形成し、都市近郊にあっては貴重な里山の原風景を維持している地域です。里山風景や自然が楽しめる兵庫県立宝塚西谷の森公園、廃線跡のウォーキングと桜や紅葉を楽しめる「桜の園亦えきらく楽山荘」や、花の里・西谷が楽しめる上佐曽利地区のダリア園、長谷地区の牡丹園など、四季を通して自然を満喫できる地域です。この地には古くから村々が存在し、明治22 年(1889)に兵庫県川辺郡「西谷村」となりました。昭和30 年(1955)には宝塚市と合併し、西谷村は廃止となりますが、その後現在に至るまで、人が生活するために切り開いた里山としての原風景を残す、宝塚市の中でも貴重な地域として営みが続いています。
しかし、西谷では人口減少が続き、高齢化も進行しているため、地域の活力が低下し、生活環境への影響も見え始めています。生活様式や農業環境など時代の変化を受け入れつつ、これまでの文化や伝統行事の継承、里山の自然環境の維持などが課題となっています。

現在では、里山保全のボランティア活動や地域住民の保全活動が続けられ、春にはお花見、秋にはダリア園や紅葉ハイキングなど、豊かな自然を楽しむことのできる宝塚西谷。ここに存在する貴重な自然と生活文化をどのように未来へ残していくのかが、大きく議論されるタイミングにきているようです。
本書は3 部構成になっています。一つ目のパートでは、古代から現代に至るまでの西谷の歴史をたどります。そして、次のパートでは里山・西谷の魅力やその重要性を学識経験者の方に執筆いただきました。三つ目は近現代を中心に西谷の民俗について紹介しています。また、本書の最後には西谷全域マップと基礎資料も収録しています。

あなたもまずはこのガイドブックをめくり、西谷を歩いてみませんか?

兵庫、大阪、京都の文化の交流点ともいえる北摂の里山を知ることで、これからの自然との共存のあり方や、文化の伝承の仕方など、様々な課題が見えてくるかもしれません。

作成するにあたり、学識経験者をはじめ、地元の方々、西谷で活動するボランティア団体にご協力いただきました。資料の提供やヒアリングなど、西谷を知る上では貴重な資料となりました。

今回ガイドブックを作るにあたって現在集められる西谷の過去と現在、そして西谷の未来への想いを凝縮した1 冊となっています。